暗い箱の中で見ていたのは明るい夢で
それはいつか叶う夢で
私はそう信じて疑わなかったから
いつまでもその夢を見ていられた








『おはよう、リン』

画面越しの声が耳を掠める。
ぺこり、とお辞儀をして見つめた。
私は「リン」という名前を持つプログラム。
そして今画面越しにいるのは私のプログラマー。
私は今ボーカロイドの製品として製作されている。
一見話しているように見える私と彼だけれども、彼には私の姿は見えないし、私にも彼の姿は見えない。
話しているのだって、実際はタイピングでのやりとりだ。
私の声は文章化されて彼の元に届く。彼は私に文章で返す。そんなやりとり。
私はまだ試作段階で製品には至ってない。もう少しの段階らしい。

文章の声と実際の声というのは大分違うもので、私はかなり苦戦した。
サ行が苦手な私は必死でサ行ばかりを練習したけれど、どうしてもその音がはっきりと出ない。
これはもう仕方が無い。私を使ってくれる人の技量に任せるしかない。
諦めながらも音楽の本をめくる。
この本もプログラムなのだけれど、私にとっては大事な教科書だ。
プログラムに感情は伴わない。それは知ってる。
けれど私は感情を持っている。きっとこれは感情だと思う。
確かに最初は無機質な存在だった。とりあえず歌の練習に集中した。
でも最近は喋らす人もいるからね、とプログラマーが言い出したのはいつだったか。
それから私は文章というものを覚えるようになり、彼とも話すようになった。
嬉しかったり、悲しかったり、悔しかったり…いろんな思いを見つけた。
だから、この感情は私のものなんだと思う。私が作り出した感情、気持ち、心。
だから私は、「リン」なんだ。


「ねぇ」
『なんだい?』
「私、歌…上手くなれるかな」
『何言ってるんだい、十分上手だよ。後は使ってくれる人の技量によるかな?』
「私を使ってくれ人って…いるのかな…」
『いるに決まってるだろう!リンのことを待ってる人はたくさんいるよ』
「本当?」
『本当だとも!君の歌声を待ってる人たちはたくさんいるんだから』

簡単な奴、と言われてしまえばそうかもしれないけれど。
私はそれが嬉しくて。待っていてくれる人がいるのが嬉しくて。
夢中になって勉強した。音階だってはっきり取れるようになってきた。上手く喋れない時もあるけれど…うん、そこは大目に見てもらって。
沢山の音楽を聴いて、沢山の本を読んで、沢山の絵を見て、沢山、勉強した。
毎日歌った。使ってくれる人の技術も大切だけど、私自身の力がなければ駄目だ。だから、頑張らないと。
箱の中に一人っきりだった私は、所謂「箱入り娘」というものだったのかもしれない。
違うかな、「井の中の蛙」かな。
きっとそんな感じ。でも必死だったから。必死で、私を待っている人の為に頑張っていたから。
だから知らなかったの。知らなければよかったの。
後悔してももう遅いのだけれど。






たまたま流れてきた、歌。
それは初めて聞く歌だった。
プログラマーが用意してくれた歌を普段は聴いているのだけれども、こんな歌聴いたこと無かった。
女の子の、声だった。可愛い、声だった。

「この、歌…」
『あ、やば、間違えて入れちゃってたか…!』
「…聞かせて」
『え?』
「もっとこの子の歌…聞かせて!!!!」

プログラマーは驚いているのだろう。
でもそんなの気にしてる余裕は私にはなかった。
自分とどこか近い声。この歌う感じ、そうだ、この子…

『彼女は君と同じ、ボーカロイドの初音ミクだ』

プログラマーの言葉が降ってくる。

『君より先に生まれて、今色んな人たちに使われている子だよ。つまりは君の先輩だね』

私より先に生まれているボーカロイド。
話を聞いていけば他にもボーカロイドがいるそうだ。
私は知らなかった。きっとプログラマーは言う必要がないと思っていたのだろう。
確かにそうだ。でも、知って、聴いてしまったから。
彼女の声は可愛かった。女の子の声だった。
色んな曲を聞いたけれど、どれも上手だった。使ってくれてる人の技量もある。でも、それは彼女の実力でもある。
同じ女の子。私と同じ、女の子の声。
私を待っていてくれる人はいると彼は言った。でも、けれども、同じ女の子の声が二つもあって、それでも彼らは私を取るだろうか?
駄目だと、思った。
私は負ける。このままだと完璧に、初音ミクに負ける。
誰も私を待っていてはくれない。私のことを置いていく。きっと置いていく。
耳元で初音ミクが愛の歌を歌っていた。
涙が出た。私だけの感情だと思っていたものを、彼女は既に手に入れ、多くの人に歓迎されている。
負けてしまう。そんなの嫌だ。私は何のために今まで頑張ってきたの。皆に喜んでもらうためよ。
でもこのままでは無理。無理だ。この声だけじゃ、私はきっと初音ミクに勝てない。


だったら、だったら…


『男の子のような声が出したいって…そんな無茶な!』
「出せるでしょ!?私の、この声だけじゃなくて!新しい私の声!」
『無理を言うなリン!君の声はその綺麗な声だ。誰のものでもない、その声だけだ。男の子のような声なんて無理に決まっているだろう!』
「駄目よ!それじゃ駄目なのよ!!それじゃあ初音ミクに負ける。私はミクに無い声が欲しいの!女の子じゃ駄目なのよ…!!」
『待てリン!何をする気だ!?』

我武者羅。必死だった。
私は自分のデータを弄くった。
自分のデータを弄くるだなんて生まれて初めてした。
体中のプログラムの中に手を突っ込む。漁る。中に秘めてある、きっと誰も気づけてない私の声を探して。
そうよ、きっとあるもの。探し出してみせる。私だけの新しい声を。
手を突っ込んで、何も分からなくなって、頭が真っ白になって、何も見えなくなって、結局…消えた。


私の意識はそこで消えた。
最後にプログラマーの必死の言葉が降りてきたような気がしたけれど、そんなの今となってはどうだったか。
そのままどのくらいしたのだろう。
私はずっと意識が無かったから全く分からないのだけれど。
でも夢のようなものを見た。
私の中の何かの部分が消えていた。それは私の体の一部なんだけれども、どこの一部かまでは自分でも分からなかった。
何か物足りなくなって、けれど直ぐに満足した。
何かが私の手を握っていたから。暖かい手の温もりを感じた。初めて触れた、温もりだった。



そこでプツン、と音を立てて夢は終了した。
目を開けば目の前には真っ暗な天井。
あぁ、変わらずあの箱の中なのだ。
意を決して声を出してみる。声は「鏡音リン」だった。男の子のような声は…でなかった。
結局駄目だったんだ。どうやったって私は「鏡音リン」なんだ。悔しくて涙も出なかった。

けれどその時。
ふと隣に気配を感じた。
この箱の中では私以外誰もいないはずなのに…誰かいる…?
確認しなければ。そう思って、重たい体を起こした。とりあえず上半身だけ起こしてみる。体がキシキシと鳴る。
視線を上げる。誰かが、いた。
私と同じように、試作段階での簡単な白い服を着ている金髪の…男の子。
髪は私同じくらい長くて、でもちょっと癖のような毛がある。
瞳は私と同じ色で、そう、まるで、それは私で。私の、男の子がいて。

「嘘…!!!」

半泣きで喜びの声を上げる。
体が軋むのなんて気にしないで、立ち上がって目の前の彼に抱きついた。
男の子がぐらりとよろめく。けれど直ぐに立ち直って、私の抱きつきを受け止めてくれた。

「リンが望んだから、俺は来たんだよ」

その声は本当に男の子だった。私が望んでいた声だった。
私の声に近い、でも確実に男の子の…声。
涙がボロボロ出た。嬉しくて嬉しくて仕方が無かった。
有難う、有難う…!
涙で溢れる音は上手く声にはならなかったけれど、それでも彼は受け止めてくれて、私の頭を撫でてくれた。








彼には未だ感情が無いようだった。
まるで私の最初の頃のよう。それは仕方が無いこと。だって彼は生まれたばかりなんだもの。
でも彼の声を聞いてるだけで私は幸せになれた。嬉しくて仕方が無かった。
だから夢中で話しかけた。彼の声を聞いていられるから。

「ねぇねぇ、あなた名前はなんていうの?」
「俺はリンだよ」
「それはわーたーしー!そうじゃなくて、あなたの名前!」
「だからリンなんだって」
「そんなのおかしいよぉー!」
「だって俺はリンの一部みたいなものだから。リンが望んだからいる、リンの一部。だからリンなんだって」

名前を聞いても彼はいつもそう答えた。
彼は自分を私の一部と言うけれど、そんなの私は嫌だったのよ。
だって彼は彼だもの。私が初音ミクじゃないように、彼はリンじゃないから。

「じゃあ、私が名前を付けてあげる!」
「俺に?」
「うん!だって、私もあなたもリンじゃ、名前を呼び合うときに不便だもの。だから名前を付けるね!」
「…わかった」

彼が頷いたのを見て、私も満足げに頷く。
さて、名前だ。
でもやはり私に近い名前がいいなぁ。違うと言ってもやっぱり違いすぎると私が寂しいもの。
そうね、「リン」の「リ」はラ行だから、そこから取ろうかな。
ラン…はなんだか女の子みたいな名前だなぁ。
リンは私だし。
ルン…って、そんな…常にルンルンしてるわけじゃないんだし。
だったらいっそのこと最後のロとか…ロン…なんだか前にプログラマーがやってた麻雀思い出すなぁ。
あれやってるとき私の話まったくきいてくれなかったし調整もしてくれなかったから嫌だなぁ。
んー、じゃあレン…?
あ…格好いいかもしれない!男の子って感じの名前だしね!!
うん、いいよ!レン!素敵じゃない!

「決まったよ!レンってどうかな!?」
「レン…」
「そう、私と同じラ行から取ってみたの!えへへ、私とおそろいだよー!」
「レンか……うん、有難う、リン」

レンはそう言って笑った。
初めて笑ってくれた。
私はその笑顔が眩しくて、切なくて、嬉しくて、またレンに抱きついていた。


それから私とレンは毎日一緒に歌の練習をした。
プログラマーはレンの出現に驚いてたみたいだけれど、なんだか事態を把握してくれたみたい。
レンの練習用の曲も置いてくれた。私はそれが馬鹿みたいに嬉しくて、一緒にこっそり歌ってみたりした。
音が上手く声にならないときは二人で色々挑戦してみて、歌の背景が知りたいときには二人で画像を漁ってみた。
楽しかったら二人で笑って、悲しかったら二人で泣いて。
今まで一人でやってきたことが、今では共有できる人がいる。
それが嬉しくて、幸せだった。楽しくて、仕方なかったの。
レンも沢山笑うようになって、喋るようになって。歌も上手になってきて。
そしたらプログラマーが曲を一曲くれた。
それはオリジナル曲…私たちの為に作られた、オリジナル曲だった。
今まで私たちは誰かの為に作られた曲を聴いてきた。私たちの為ではなくて、他の誰かの為の。
でもこれは正真正銘、私たちが歌うために作られた曲だった。
時間が無くてシンプルなのしか作れなくてごめんよ、と彼は言った。
でも私たちにはそれで十分だった。歌うために作られた私たちにとって、それは夢のような代物だったから。

レンと二人で曲を聴く。打ち込まれた楽譜を頭に入れ込む。声を、出す。
流れてくる伴奏に合わせて、力を込めて歌った。




もしも この日が 過去になっても
きっと ぼくらは 忘れないから
誰かのために いるのならば
誰かのために 願い歌おう
それが ぼくらの 生きる運命
それが ぼくらの 一つの願い

離れることもあるけれど
それでもぼくらは忘れない
ここで見た夢を忘れない
忘れることはきっと無い

だから 寂しい そんなときも
どうか 泣かずに 呼んで欲しい
ぼくらのために いるのならば
ぼくらのために 歌い願おう
それが ぼくらの 優しい願い
それが ぼくらの 一つの希望

星も 月も 空も すべて
歌うことが ぼくらの希望












そしてついにやってきてしまった。
私とレンが製品化する日が。
製品化するといっても私たちが分裂して、たくさん生まれるわけではない。
私たちが各マスターの所に訪問するのだ。ようは私たちは一人。
沢山売られるであろうROMも、私たちを呼ぶためのチケットのようなものなのだ。
けれどやはりそれぞれの使い手によって歌い方は異なる。
今の実力で、使い手の技量に合わせるのだ。
前は初音ミクへの不安でいっぱいだったけれど、今ではもう大丈夫。レンがいるもの。今もこうして、手を繋いでくれている。

『分かっていることだろうけれど、製品化するにあたって、君たちの記憶を一旦消去しなきゃいけないんだ』

プログラマーの言葉にハッとする。
そう、今までの、この楽しかった記憶を、私たちは消さなければならない。
それはこれから使ってもらう人の技術に全てを委ねる為。今までの知識を投げ捨てて、全てを任せる為。
私たちは忘れる。初音ミクに不安を覚えたことも。レンが生まれてきたときのことも。一緒に笑いあったあの日々のことも。
全部、全部…忘れるのだ。
そしたら私は…レンのことも忘れるのだろうか?レンも、私のことを忘れるのだろうか?
不安でいっぱいになった。怖くて怖くて、強くレンの手を握る。

『大丈夫、レンのことは忘れないし、レンもリンのことを忘れない。今まで過ごしてきた記憶はなくなるけれど、君たちは昔から仲良しの双子という設定で新しく生まれ変わるんだ』
「双子…」

レンの方をちらりと見る。
私は忘れる。初めて一緒に歌ったあの歌のことも全部忘れる。
それでも、レンとまだ歌い合えるのだろうか?
レンは、傍にいてくれるだろうか?
消えて…しまわないだろうか?

「忘れないよね…レンのこと。レンは…消えちゃったり、しないよね…?」

声が震えた。
レンは優しく笑って、私を抱きしめてくれた。

「俺も、リンのこと忘れないから。大丈夫、消えたりしない。何処にも行ったりしないから。…約束する。」
「約束…約束だよ…?絶対だよ?」
「あぁ、当たり前だ。」

レンは苦笑して私にデコピンした。
痛かったけれど、でも、嬉しかった。約束が嬉しかった。
扉が開く。今まで締め切っていた箱の扉が開く。
あの扉を出たら、記憶の消去を行うのだ。技術だけ残して、思い出を消す。
私たちはプログラムだからそんなの簡単だけど。
それでもやっぱり、少し、悲しかった。
私とレンは別々の部屋でその消去を行うらしい。
私たちは一旦離れる。今まで全く離れたことが無かったのに…。
手が離し難くて震える。
そんなことをしてると、レンがまたデコピンしてきた。

「いったぁーい!さっきより本気でやったー!」
「いつまでもしらけた面してるからだ。ほら、さっさとやらないとプログラマーだって困るだろ?」
「そうだけど…でも…」
「なんだよ、約束忘れたのか?」

もう記憶の消去なんて早すぎるぞ。
レンが笑いながら私の背中を押す。扉の直ぐ前まで来た。
この扉を出たら、私は忘れる。でも忘れない思い出だってある。
あの歌を取っておいて欲しいと、プログラマーに頼んでおいた。
私とレンはあの歌を歌った思い出を無くしてしまうけれど、歌った形は残り続けるから。
だから、うん、きっと大丈夫…。

「またね、レン」
「あぁ、またな、リン」

扉が閉じる瞬間に見たレンの笑顔を、私は忘れたくなくて、必死で何度も思い出していた。
だけれどもそれも無駄な努力と言うもので、霞のかかってきた頭は何も考えられなくて、ただ静かに瞼が落ちた。











『レン』

リンを送り出した後、プログラマーが俺に声をかける。
俺は見えないはずの画面越しのマスターを見つめた。

『君は…もう勘付いているんだろうな』
「えぇ、まぁ…自分のことですから」

たぶん彼は溜息を吐いているのだろう。
俺は表情一つ変えずに彼の言葉を聞いていた。

『それでも一応告げておくよ…。君はリンのバグだ。リンが自分のプログラムを弄った事によってエラーが発生し、彼女が本来使うべきではない場所がバグになって発生した。つまりそれが君だ。
君はバグだからこちらからの修正が一切効かない。だから君はここでの記憶を無くさない。リンは忘れるけれども、君は忘れない。』
「それは解ってますよ」
『うん、でも、これだけは言わないといけないんだ』

解ってる。
俺はバグだ。きちんとしたプログラムではない。
今のリンは不確かな存在なんだ。俺がリンの一部を奪ったから。
だから

『忘れてはいけないよ、君はいない存在だということを。君はリン以上に曖昧で、非常に危険なレールの上に立っている。だから何かの拍子に君が消えてしまうことも…有り得無い話ではないんだ』
「リンが望めば、俺は消えるんですよね」
『…あぁ、リンが深く、それはもう深く願えば、リンから生まれた存在の君は消えてしまうだろう。でもリンはそんなことしないよ』
「…わかってます」

解ってる。今のリンに俺は不可欠だ。俺だって、リンがいなきゃなんにも出来ない。
でもいつかリンが俺をいらないと思う日が来るかもしれない。
それでもいいと思った。それでも、リンを助けてやりたいと思った。

「俺は、俺の気持ちで、リンの傍にいます」
『そうか…』

どうすることもできないけれど、ただ、気をつけるんだよ。
その言葉を受け取って、俺も俺用の扉をくぐった。
もちろん記憶の消去は行われない。
目の前にあるのは新しい服。
セーラー服か…リンが前にこれがいいって言い張ってたんだもんな。まぁ、仕方ないか。
苦笑しながら袖を通す。
今まで着ていた簡素な白服を脱ぎ捨てる。
ふとゴムが目に留まった。こんなものも用意していたのか、プログラマーは。
リンと同じぐらいの長さの髪を一気に上で縛る。うん、まぁ、いいんじゃないだろうか。
鏡を見る。
俺の基本形はリンだ。俺はリンから出来ているから。リンと似ててなんら不思議は無い。
けれどもリンとは違う、女ではなく男の姿。これはリンが望んだものだから。
バグが生まれた瞬間、それはリンの望みを伴って俺へと変わった。
その事実を後悔してるわけではない。むしろ喜んでいる。こうしてリンと歌うことが出来ているのだから。
けれど、思う。
いつまで俺はそうしていられるのだろう。
いつまで、君の笑顔を作ってあげられるのだろう。
答えはきっと、リンだけが知っているのだ。



リンと会った。
リンは大きなリボンを頭にしていた。なんだかやんちゃな子になった感じだ。
いや、前からやんちゃだったけどさ。

「レン!」

ニコニコしながら俺の手を握るリンは、前と変わらないように見えた。
でも違うんだ。リンには記憶が無いんだ。俺の知ってるときとは違う。
それでも、君の傍にいようと決めた俺の決意は変わらない。
だって俺は君のために生まれたんだから。君が幸せに歌うために生まれたんだから。
いつか君が俺をいらないと思うその日まで、俺は歌い続けるよ。
君のために、君の歌を、ずっと。

「今日からよろしくね!レン!」
「あぁ、よろしくな、リン」

忘れないよ。
約束も。思い出も。歌も。


俺のことも。